──亡き人と自分の絆を大切に
 
 「弔辞」というのは、亡くなった方に語りかけると同時に、それを聞いている遺族や参列者がいるということを忘れてはなりません。そうでなければ葬儀(告別式)の中で語られる必要がないのです。
 紙に書いて準備しますが、ゆっくり皆に聞いてわかるように読むこと、あまり長くならないことに注意したいものです。
 形式は自由です。自らの故人に対する想いが充分に伝わればよいのです。ここで、実例をいくつか紹介しますが、関係によっていろいろな形があるんだなということがわかっていただければよいと思います。形よりも中身です。

 
■Q1  弔辞を頼まれました。まずはお断りするのが礼儀でしょうか?
〔A〕
 遺族や関係者が弔辞を依頼するのは、いろいろなことを考えて、故人のために最も適当と思われる方を選ばれた結果です。遠慮するより、受けるのが礼儀です。文章が上手でないから嫌という方もいらっしゃるでしょうが、文章の専門家ではないのですから、上手にということは考える必要がありません。むしろ故人や遺族に対するご自分の素直な気持ちをご自分なりにそのまま表現されるように努めれば、相手に想いが伝わるものです。他人の文章をまねすると、借りてきた文章になってよくないものです。形式に囚われるよりも、故人を送るご自身の気持ちに忠実に、素直に表現してください。

■Q2  弔辞を述べたいとこちらから申し出ても構わないのですか?
〔A〕
 故人と親しく、どうしても一言追悼の言葉を述べたいときは申し出られるのもよいでしょう。但し、時間に制限があり、数人の方に限定されますから、押しつけがましくなく申し出る必要があります。あくまで決定は遺族、関係者に委せられる必要があります。他に依頼する方があったり、弔辞そのものを式で読まないときには、弔辞を述べなくても、書いていき、祭壇に置いてくる、遺族に終了後お渡しすれば、意が通じると思います。

■Q3  弔辞を依頼されました。故人と親しいため、いろいろ述べたいことがありますが、あまり時間をとってもいけないでしょうし、どうしたらよういのでしょう?
〔A〕
 まず、どういう方に依頼されたか確認します。3人くらいの方でしょうから、それぞれが語るようなことは省き、自分でなければ語れないことに絞ります。時間も長くて3分、原稿用紙にして2〜3枚ですので、最も心に残り、伝えたいこと1つに絞るくらいの気持ちが大切です。

■Q4  弔辞は巻紙に筆で書くといいますが、私は字が下手です。どうしたらよいのでしょう?
〔A〕
 正式には、厚い巻紙に薄墨で楷書で筆を使って書きます。これを約10センチ幅で折り畳み、奉書紙に包み、「弔辞」と表書きします。
 字に自身のない人は清書の代筆を頼むこともあります。
 また、略式とは言われますが、便箋に万年筆で書き、白い封筒に入れて表書きする例もあります。
 新しい方法では、ワープロで打ち、これを白い封筒に入れて表書きするケースがあります。このとき自分の名前は自筆でサインされるとよいでしょう。ワープロの長所は、字が小さいため、1枚に収まるので、読みながら折り畳む必要がない点です。
 正式、略式といっても、通例のことで、正式に決められているわけではありません。後から遺族に渡され保存されますので、失礼にならないようにということだけです。
 最も大切なことは、自分で文章を考えるということです。他人に書いてもらって読むだけというのでは心がこもりません。

■Q5  弔辞を読むときの作法を教えてください。
〔A〕
 名前を呼ばれたら、祭壇の前に静かに進みます。遺族と司式をされる方に一礼し、包み紙から取り出します。遺族や参列者が聞いてわかるように、ゆっくり、はっきり読みます。最後の名前まできちんと聞こえるようにしたいものです。語り終えたら、包み紙に最初の状態に戻し、祭壇に置きます。一礼して席に戻ります。僧侶に手渡すとか、キリスト教では遺族席を向いて読むとか、ありますので、最初に確認しておかれるとよいでしょう。