□Q28  家族葬とは?


 最近「家族葬」という言葉を聞くようになりました。家族葬はどう行うのがいいのでしょうか?また、家族葬では「香典を持っていかない」と聞いたのですが、ほんとうですか?(42歳女性)

A 
「家族葬」というのは90年代に登場したばかりの新しい言葉ですので、その内容が決まっているわけではありません。おおよそのところは次のように定義できるでしょう。
「いろいろな人に葬儀の案内をしないで、身内だけでするお葬式」

■家族葬における「身内」とは?
 では「身内の範囲は?」となると、それがそれぞれの遺族の考え方によって変わっているのが実情です。それは各家庭の事情や考え方があるのですから、変わって当然なのです。
 一般には次の3タイプに分かれます。
(1)遺族のみ
(2)遺族+親戚
(3)遺族+親戚+故人と親しかった人
 (1)の範囲のみですと数人〜10人未満というところ、(2)の範囲では20〜30人程度、(3)であれば30〜80人程度でしょう。実際には(3)のタイプが多いようです。
 (1)や(2)のタイプの家族葬を選択した場合には、後日に友人や関係者を招いて「お別れ(の)会」を開催することがあります。

■「遺族」の範囲は?
 また(1)のタイプを選択した場合には「遺族」の範囲をどう考えるか、という問題があります。
 私は「遺族とは二親等の範囲」と考えるべきだろうと思っています。
 つまり、本人の子ども時代の家族である両親(一親等)、祖父母(二親等)、きょうだい(二親等)と、本人が結婚後につくった家族である配偶者、子ども(一親等)とその配偶者、および孫(二親等)とその配偶者、が二親等の範囲となります。
 父親が亡くなったとき、子どもから見れば叔父さん、叔母さんは「遺族」ではなく「親戚」ではないか、と考えがちですが、叔父(伯父)、叔母(伯母)は子どもから見れば三親等ですが、本人である父親にとってはきょうだいで二親等になりますので「遺族」になります。

■家族葬は香典辞退?
「家族葬」の場合、範囲をどうするかは、それぞれの家庭の考え方によりますが、いずれも「本人と親しかった人」ということになります。ですから葬儀もお別れも参列した皆で行い、参列した人の多くが火葬場まで付き添うということが原則です。
 ですから参列してほしい人にだけ案内し、その他の人には「勝手ながら身内だけで行いますので、ご会葬もお供物もご辞退させていただきます」と告げるのが一般的です。この場合の「お供物」には香典、供花、供物が含まれます。
 但し、葬儀に参列する人の場合は別です。香典、供花、供物は、特別断る理由がなければ、受け取るのが原則です。
「家族葬では香典は不要」というのは、葬儀の案内をされず参列しない人の場合には不要ということで、案内され参列する人は包みます。案内される人は親しい人ですから、むしろ多めに包みます。葬儀後の会食にも出ることを考えると、一人2〜4万円くらいが目安になるでしょう。もちろんそれぞれの経済状態によっても異なりますが。

■家族葬の宗教は?
 また「家族葬は無宗教でする」という俗説があります。それは俗説であって、無宗教でする場合もありますが、一般的には宗教者を招いて葬儀を行います。
 通常の葬儀がどちらかと言えば、本人の宗旨よりも家の宗旨に従って行われる傾向がありますが、家族葬の場合には、あくまで本人の宗旨を最も尊重して行われます。

■家族葬のポイント
 家族葬のポイントは、形式ばるのではなく、優しさ、温かさを大切にすることでしょう。
皆身内なのですから遺族の答礼はなくてもいいでしょう。挨拶がどうのというよりも、遺族の悲しみを大切にすることを優先したいものです。また座る順番もあまり気にしないで「身内だけですので順不同でいきましょう」としてもいいでしょうし、柩を皆で囲むようにして葬儀をするのもいいでしょう。
また最後のお別れ(お別れの儀)は、皆本人と親しかった人なので、一人ひとりがゆっくり故人と対面してお別れできるように、予め充分な時間をとっておきます。