家のお墓はお寺にあるのですが、母は父の葬式の院号料のことでお寺が嫌いになり、自分の葬式は無宗教でしてくれと言っています。はたしてこのようなことは可能でしょうか。(46歳女性)
A
お母様はお寺との間で相当嫌な思いを経験されたのかもしれませんね。お寺にお墓がありながら無宗教葬を希望されるのは相当なお気持ちだろうと思います。 無宗教葬をするとなると、そのお寺の檀信徒であること、というお寺の墓地の使用条件に抵触して、お母様の遺骨は、お寺にあるお墓には埋骨できないという事態も予測されます。 お寺の墓地というのは、「寺院境内墓地」と言い、一般に開放されたものではないからです。あくまでその宗教団体の信者、檀信徒の供養のための宗教施設という位置づけをもっており、公営墓地や民営墓地とは違う性格をもつとされているからです。公営墓地や民営墓地は宗旨を問わないのに対し、寺院境内墓地では宗旨が問われる可能性が高いのです。墓地の管理者であるお寺が認めれば別です。しかし、寺院境内墓地に埋骨されるためには、そのお寺で葬式をするか、その寺院から戒名(法名)を授かるかして、檀信徒であることを証することが要求されるケースはよくあることです。したがってお母様の葬式をお寺に依頼せず無宗教葬で行なうとすれば、お寺にあるお墓には埋骨できない可能性が高いと言わざるを得ません。 しかし、そういう事態を招くということも承知のうえでしたら、お母様のご意思ですから、無宗教葬でお送りするのがいいと思います。葬式の宗旨を決定するのは、まず第一にご本人の意思であるべきだからです。これは基本的な人権に属する問題ですから、いかなることがあっても制限されるべきではありません。 その場合には公営墓地あるいは民営墓地といった宗旨が問われるこのない墓地を求める必要が生じます。その際にお寺のお墓を撤去しようとするならば、改葬になり、お寺のお墓は返還する際には墓石等を撤去して更地にする必要があります。
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