□Q13  戒名は自分でつけてもよいか?


 私は自分の戒名を自分でつけたいと思っています。かまいませんでしょうか。自分の生き方は自分がいちばんよく知っています。死んだ後に残る名前は自分でつけたいのです。(70歳男性)

A 
「戒名」を「死後の名前」というのは半面の事実でしょうがそれだけではありません。正しくは「仏弟子としての名前」です。
ですから仏教徒でなければそもそも戒名は不要な者です。無宗教で葬式をするのであれば戒名は不要ですし、また、死後に呼んでほしい名前があれば、昔の人が現職を退いたときに改名したように、自分で自由に名乗ってもかまいません。
ですが戒名が仏弟子としての名前であることを了解するのであるならば、これは自分で勝手に決めるわけにはいきません。
仏弟子になるとは法縁につながるということですから、やはり檀那寺の住職に付けてもらいたいものです。
自分で付けたいという気持ちには納得できるような戒名を、というお気持ちがあるのでしょう。そうであるならば住職に自分の生き方をよく説明し、希望の文字があれば伝え、生前に戒名をいただいておくのがよろしいでしょう。
戒名は、一般的には死後に授与されていますが、仏弟子に連なるという意味からすれば生前に授かるのが本来的です。
生前にもらうのは縁起が悪いとお考えるかもしれませんが、けっしてそのようなことはありません。
自分を送ってくれる役割の住職には自分の生涯を理解してもらっていないとむしろ不安でしょう。生前にコミュニケーションをよくとっておくことは必要なことです。僧侶は死んでから役に立つ存在ではなく、生きているときにこそ役に立つ存在なのです。
また戒名を授かることにより残りの人生を充実させることもできるでしょう。