□Q10  献体はどうするの?


 友人から「献体というのをするとお葬式しなくていいそうよ」と聞きました。献体というのはどういうもので、どういう手続きをすればいいのですか。(70歳女性)

A 
まず言っておかなければいけないのは、「献体すればお葬式はいらない」というのは誤解だということです。火葬はしなくてもいいですが、お葬式というのは大きさの大小を別として、遺された人々が死者を弔うという行為ですから、誰も身寄りがいない、親しくしている知人や友人もいないなら別ですが、何らかの弔う行為を伴うはずです。
 さて献体ですが、「医学・歯学の大学における人体解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供すること」を言います。
 つまり、将来医者になる学生が人体解剖学の実習をする教材に自分の遺体を使ってもらおうとして提供することです。
 これは医学教育のためにとても重要なことです。医師養成のために献身するという、この主旨を理解し、賛同する人が、自分の自由な意思で登録しておきます。このとき家族のある人は家族の同意を必要とします。
 登録の申し込み先は、篤志家団体または近くの各医科大学や歯科大学になります。
 なお、献体の実行は以下のように行われます。
 献体登録者が死亡すると、遺族は登録先の大学にできるだけ早く連絡し、遺体の引き渡し手順を打ち合わせします。大学では48時間以内の引き取りを希望しています。別な言い方をすると48時間はお別れする時間があるということです。
 通常であれば、亡くなった日の夜に通夜をし、翌日に葬儀・告別式をし、火葬場に行く代わりに大学からの引き取りの車に乗って大学へ向かいます。
 大学では防腐処置を施され、解剖実習に供され、死後1〜2年後に大学の責任で火葬され、遺骨となって家族の手に返還されます。
遺骨は、引き取り手のいない場合、または希望すれば、大学の慰霊塔に合祀され、毎年供養のための慰霊祭が行われます。
献体すればお葬式しなくてもいい、お墓がいらないというのは、主旨が違いますから注意しましょう
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