葬儀の挨拶は、その性格から準備の時間が充分にとれません。また、気が動転しがちですのでたいへんむずかしいものがあります。挨拶にふだんよく慣れている人の場合でも、葬儀という非常事態ではなかなかうまくいかないものです。そこでいくつかのポイントをあげておきましょう。

■ 1話したいことを整理する
 まず、何を話すか、要点を箇条書きにしてみます。あれもこれもと話したいことがあっても、その中で、これだけは是非というものだけに絞ります。

■ 2挨拶は長すぎてはいけない
 長い挨拶が良いのではありません。自分の想いを全部語ろうとしたらいくら時間があっても足りません。式の中で話すのですから、葬儀委員長の式辞で5分以内、弔辞であれば3分以内が限度です。

■ 3原稿用紙に書いてみる
 整理したメモをもとにして原稿用紙に書いてみます。速く話して400字原稿用紙1枚が1分です。ユックリ話すとして3分なら原稿用紙2枚です。書き上げたら、1回声に出して読んでみて時間を測ってみるとよいでしょう。文章を目で読むスピードと声に出して話すスピードでは大きな差があります。

■ 4前置きはなくてよい
 緊張するばかりに、ていねいな長い前置きを長々と述べてしまう人がいます。かえって逆効果です。短い時間ですから、中心内容に時間を使うのがよいです。

■ 5話の中心は一つに絞る
 だらだらいろいろなことを話しても、聞いている人に想いが伝わりません。最もいいたいことを一つに絞ってそれを中心に構成します。

■ 6美辞麗句は心に残らない
 挨拶というと美辞麗句のオンパレードということが少なくありません。だが、聞く立場になって考えればわかるのですが、心に残りません。同様に、決まり文句を多用しないことです。ほんとうに伝えたいことを心をこめて話すほうが相手に想いが通じるものです。できるだけ自分の気持ちに正直に、自分の言葉で話したほうが想いが伝わり、感動を引き起こします。

■ 7聞いてわかる言葉で話す
 葬儀というとむずかしい言葉のこれまたオンパレードです。やさしい、聞いてわかりやすい表現を使いたいものです。原稿を作っても、話すのですから、自然な言葉遣いで、聞いている人にわかるように、ということが基本です。

■ 8上手に話そうと思わない
 話すプロではないのですから、上手に、立派にということを意識しすぎないようにしましょう。上手にと考えると、言葉を必要以上に飾ってしまいます。自分らしく率直に話すことを心がけるほうがよいのです。

■ 9ゆっくりと話しかけるように
 あわてないで、ゆっくりと話しかけるように区切って話すことです。聞いている人に対し、文章を読んでいる感じではなく、目を見て語りかける感じで話すとよいでしょう。

■10自分らしい話をする
 他人の弔辞に固有名詞だけを変えて話をしてみたところで、形は立派でも心がこもらないために相手に想いが伝わりません。故人と出会って、自分が最も印象深かったことを、下手でもいいから自分の言葉で語るときに想いが伝わるのです。